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エンジニア採用にリファラルが効く理由と実践ポイント

2026/6/9

エンジニア採用にリファラルが効く理由と実践ポイント

この記事はこんな人におすすめです

  • 求人媒体やエージェントを使っても応募が集まらない方

  • リファラル制度を作ったのに誰も使ってくれない方

  • 採用手法の改善だけでは限界を感じている方

エンジニアの採用がうまくいかないと悩む採用担当の方は多いのではないでしょうか。求人媒体に出稿しても応募が集まらない、人材紹介会社に依頼してもコストばかりかさむ。そうした状況が続く背景には、エンジニア採用特有の構造的な問題があります。この記事では、その課題を解消する手段として注目されるリファラル採用について、エンジニアとの相性がよい理由から制度が機能しない場合の落とし穴、実践のポイントまで解説します。読み終える頃には、自社のリファラル採用に向けて次に取るべき動きが明確になっているはずです。

1、エンジニア採用が難しい構造的な理由

エンジニア採用にリファラルが効く理由と実践ポイント

(1)エンジニアの大半は転職市場に出てこない ─ 転職潜在層の実態

エンジニア採用が難しい最大の理由は、求人媒体や転職サービスに登録しているエンジニアが全体のごく一部にすぎないことにあります。採用担当がスカウトを送ろうにも、そもそも転職意向を持ちながら市場に出てきていないエンジニアの方が、実際に転職活動をしているエンジニアよりはるかに多いのが実態です。

この潜在層は、条件のよいポジションや信頼できる人からの紹介があれば動き出す可能性を持っています。しかし求人媒体やスカウトサービスのデータベースには掲載されていないため、従来の採用チャネルだけでは出会うことがそもそもできません。採用担当がどれだけスカウト文を磨いても、相手が転職市場にいなければ届かないのです。

(2)求人媒体・エージェントに頼り続けると起きること ─ 費用・ミスマッチの連鎖

転職市場に出てくるエンジニアの数が限られているにもかかわらず、多くの企業が求人媒体への出稿や人材紹介会社の利用に集中しています。その結果、少ないパイをめぐる競争が激化し、採用費用は年々上昇しています。人材紹介会社を経由する場合、内定承諾時の成功報酬として年収の30〜35%程度が相場となっており、年収600万円のエンジニアを採用すれば180〜200万円超の追加費用が発生する計算です。

また、エージェントを介した採用では候補者の「転職意向の高さ」が選考の前提になります。複数社を同時並行で受ける転職活動中のエンジニアは、条件面での比較がしやすいため、内定辞退や短期離職のリスクも高まります。費用をかけて採用しても、入社後に期待と実態のギャップを感じて早期に離職してしまうケースは多く見られます。

2、リファラル採用とは?エンジニアとの相性がよい理由

(1)リファラル採用とは何か ─ 縁故採用との違いも整理

リファラル採用とは、在籍社員が友人・知人・元同僚などを会社に紹介し、通常の採用選考を経て採用する手法です。紹介があった候補者も、他の応募者と同様に書類選考・面接・条件交渉などのプロセスを経るため、選考を省略したり、基準を下げたりするものではありません。

よく混同される「縁故採用」は、コネや人間関係を理由に選考基準を曲げて採用することを指します。リファラル採用はあくまで「出会いのきっかけを社員の人脈に求める」という点が異なります。選考の公平性を担保した上で、採用の入り口を広げる手法と理解するのが正確です。

(2)エンジニアは他職種より「友人の紹介」で転職する割合が高い 

エンジニアという職種は、他の職種と比べてリファラル経由で転職する割合が高いことが知られています。LAPRAS株式会社の調査(*1)によると、「友人の所属する会社に訪問した」という転職手段を選んだエンジニアの割合が約35%に達し、エンジニア以外の職種の約14%と比べて大きく上回るという結果が出ています。また「友人に人事担当者を紹介してもらった」という手段を選んだエンジニアも約22%おり、非エンジニア職種(約12%)の約2倍にのぼります。

*1 参考:LAPRAS株式会社「転職時行動の調査レポート〜エンジニアは友達のつてで転職活動する〜」2018年

この背景には、エンジニアが技術的な評価軸を持ち、採用担当者よりも現場エンジニアの言葉を信頼しやすいという特性があります。「どんな技術スタックを使っているか」「チームの雰囲気はどうか」「実際の開発フローは整っているか」といった情報は、求人票やエージェントの説明からは得にくく、現場で働く知人からのリアルな声の方が説得力を持ちます。

(3)技術コミュニティの信頼関係が採用を加速させる仕組み

エンジニアの世界には、勉強会・技術カンファレンス・OSS活動・オンラインコミュニティなど、職場を超えた横断的なつながりが多く存在します。こうしたコミュニティで日常的に交流し、互いの技術力や仕事スタイルを知っている関係性は、採用面接の短い時間では絶対に得られない深い相互理解を生み出します。

そのため、コミュニティ経由でつながったエンジニア同士の紹介は、単なる「知り合いを紹介する」という行為を超えた、プロとしての信頼の表明でもあります。紹介された側も「あの人が推薦するなら間違いない」という安心感を持って選考に臨めるため、入社後のミスマッチが起きにくく、定着率も高い傾向にあります。

3、リファラル採用の基本とメリット・デメリット

(1)エンジニア採用で得られる4つのメリット

エンジニア採用においてリファラルを活用すると、主に次の4つのメリットが得られます。

  1. 転職潜在層へのアクセス:前述のとおり、転職活動を積極的に行っているエンジニアは限られており、転職意向を持ちながら市場に出てきていない層の方がはるかに多いのが実態です。社員の人脈を通じることで、通常の採用チャネルでは届かない層に直接アプローチできます。

  2. 採用費用の削減:人材紹介会社への成功報酬や求人媒体への掲載費が不要、もしくは大幅に削減できます。人材紹介会社への成功報酬や求人媒体への掲載費が不要、もしくは大幅に削減できます。社員へのインセンティブを支払っても、エージェント経由の成功報酬(理論年収の30〜35%程度が相場とされています)と比べてコストを抑えられる傾向があります。

  3. ミスマッチの低減:紹介する社員は自社の文化・技術環境・チームの雰囲気を熟知しています。その社員が「合う」と判断して紹介する候補者は、入社後のカルチャーフィットが高い傾向にあります。

  4. 定着率の向上:知人がいる環境への入社は、オンボーディングがスムーズになります。「分からないことは紹介者に聞ける」という安心感が、早期離職のリスクを下げます。

(2)見落としがちな3つのデメリットと対処法

一方で、リファラル採用には注意が必要な側面もあります。代表的な3点を挙げます。

  1. 人材の同質化リスク:社員の人脈に頼るため、似たような価値観・バックグラウンドを持つ人材が集まりやすくなります。多様性を意識的に設計し、リファラル以外のチャネルと組み合わせることが重要です。

  2. 採用スピードの不確かさ:紹介が発生するタイミングをコントロールできないため、急ぎの採用ニーズには対応しにくいです。他のチャネルと並行運用することで、スピードの問題を補います。

  3. 不採用時の人間関係リスク:紹介した社員と候補者の関係が選考によって傷つく可能性があります。不採用時のフォローフローを事前に設計しておくことが不可欠です(詳しくは後述)。

4、なぜリファラル制度は「作っても機能しない」のか

(1)社員が紹介をためらう本当の理由 ─ 不採用後の関係性リスク

リファラル採用制度を導入している企業の多くが「制度はあるが、ほとんど使われていない」という状況に陥っています。エン・ジャパンの調査(*2)によると、リファラル採用を制度化している企業のうち「うまく運用されている」と回答したのは40%にとどまっており、制度を作るだけでは機能しないことが数字にも表れています。

*2 参考:エン・ジャパン株式会社「リファラル採用(社員紹介)意識調査」2017年

社員が紹介をためらう最大の理由は、「不採用になったときの気まずさ」への不安です。「自分が推薦した人が落とされたら、友人関係に影響するかもしれない」という心理的ハードルが、行動を起こす前に社員を立ち止まらせます。この不安を制度設計で取り除かない限り、インセンティブをいくら高めても状況は変わりません。

(2)「制度があっても誰も使わない」状態に陥るパターン

制度が機能しないパターンには、大きく分けて3つあります。1つ目は「作って終わり」型で、制度を社内規程に追記しただけで周知活動を行っていないケースです。2つ目は「誰に声をかければよいか分からない」型で、採用要件が社員に伝わっておらず、「自分の知り合いが合うかどうか判断できない」状態になっています。

3つ目は「過去に失敗した」型で、以前に候補者が不採用になったことで紹介者との関係が気まずくなり、その経験が社内に広まって制度自体への忌避感につながっているケースです。この3つのどれに当てはまるかを診断することが、リファラル採用改善の出発点になります。

5、エンジニアのリファラル採用を機能させる5つの実践ポイント

(1)エンジニアが紹介したくなる職場を先に作る

リファラル採用で最も重要な前提条件は、在籍エンジニアが「ここで働くことを人に勧められる」と感じているかどうかです。社員エンゲージメントが低い状態でインセンティブだけを設定しても、紹介は生まれません。技術的に挑戦できる環境、チームとしての心理的安全性、適切な評価制度が整っていることが、リファラル採用の土台になります。

例1)週1回の技術共有会を設け、社員が「ここは技術への投資が本物だ」と実感できる文化を作る。紹介時に「こんな取り組みをしている会社だよ」と伝えられる具体的な話題が増えます。

例2)四半期に一度、エンジニアが関わるプロジェクトの技術的な意思決定プロセスを全社共有する場を設ける。社員が自社の技術的な魅力を言語化しやすくなります。

(2)採用要件をエンジニア社員が「説明できる粒度」まで落とす

「バックエンドエンジニア募集」という情報だけでは、社員は誰を紹介すればよいか判断できません。リファラル採用でエンジニアが動くためには、技術スタックや求めるスキルレベル、チームの課題、一緒に働く人のキャラクターまで含めた「説明できる粒度」の情報共有が必要です。

例1)社内Slackに採用ポジションの専用チャンネルを設け、「今のチームに足りていないスキル」「こんな課題を一緒に解決したい」を具体的に発信する。

例2)月1回の全社ミーティングで採用担当が「今月最も紹介してほしい人物像」を1分でプレゼンする。社員の頭の中に「該当しそうな人」が浮かびやすくなります。

(3)不採用時の関係性ケアをフローに組み込む

社員が紹介をためらう大きな理由である「不採用後の気まずさ」を解消するには、不採用時のフォロープロセスを制度設計の段階で明文化しておくことが必要です。「不採用の場合は人事が候補者に丁寧にフィードバックを行い、紹介者への連絡方法についても支援する」という流れを事前に共有するだけで、社員の心理的ハードルは大きく下がります。

例1)紹介者向けのガイドラインに「不採用でも紹介者の責任ではない」と明記し、人事が紹介者をサポートする旨を周知する。

例2)不採用の際は人事が候補者に対して「今後どこかでお役に立てれば」という前向きなメッセージを送る文化を作る。候補者と紹介者の関係が選考後も良好に保たれやすくなります。

(4)インセンティブ設計:金額より「感謝の可視化」が動機に

社員へのインセンティブ(紹介報酬)は、リファラル採用を促進する手段のひとつです。金額の相場は、採用が決まった場合に1〜9万円の範囲で設定している企業が最も多く、30万円未満に収まるケースが多い(*3)ですが、職種や企業規模によって異なります。

*3 参考: 株式会社TalentX「リファラル採用の実施状況に関する 企業規模・業界別統計レポート2025年版」2026年3月

ただし、金銭的インセンティブだけでは行動を持続させることは難しく、「感謝が可視化される仕組み」の方が長期的には有効です。

例1)年次表彰で「最多リファラル貢献者」を称え、全社で感謝を共有する。金銭的報酬とは別に、「会社の採用に貢献した」という誇りが継続的な紹介行動につながります。

例2)紹介した候補者が入社した際に、紹介者へ経営者から直接お礼のメッセージを送る。小さな行動ですが、紹介という行為が組織に歓迎されているというメッセージが伝わります。

(5)他の採用チャネルと並行運用する ─ リファラル一本依存を避ける

リファラル採用は優れた手法ですが、単独で完結する採用チャネルではありません。紹介が発生するタイミングをコントロールできないため、急ぎの採用には対応しにくいというデメリットがあります。ダイレクトリクルーティングやスカウトサービスと組み合わせることで、採用チャネルとしての安定性が高まります。

また、リファラル採用は同質化のリスクを持つため、意図的に異なるバックグラウンドを持つ人材を他のチャネルから採用することで、チームの多様性を維持することも大切です。複数チャネルを組み合わせながら、リファラルの比率を段階的に高めていくことが現実的な運用方針です。

6、まとめ:リファラル採用はエンジニアと向き合う採用設計の第一歩

リファラル採用は、単に「コストを下げる採用手法」ではありません。転職市場に出てこないエンジニアにアプローチし、技術コミュニティの信頼関係を活かして自社に本当に合う人材と出会うための採用設計の在り方です。

制度を作るだけで終わるのではなく、社員が紹介したくなる環境を整え、採用要件を現場が語れるレベルまで落とし込み、不採用時の関係性ケアを設計する。この3点が揃ったとき、初めてリファラル採用は機能し始めます。

また、エンジニアを一人の専門職として敬意を持って向き合う採用設計は、リファラルの文化を育てることにもつながります。リファラル採用の整備と並行して、採用設計全体を見直すことが、エンジニアとの出会いの質を底上げする近道です。

「なぜ応募が来ない?エンジニア兼採用担当が実践する成功のコツ」では、求人票・スカウト・面談といった接点全体を解説しています。ぜひ、併せてご覧ください。

この記事を書いた人

re:shine編集部

エンジニアと企業のより良いマッチングを目指し、採用成功に役立つ多彩なテーマを発信しています。深刻な人材不足や働き方の多様化など、変化の激しいエンジニア採用市場において、採用担当者の皆様に寄り添い、明日から活用できる情報をお届けします。

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