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エンジニアが内定辞退する本当の理由と今日からできる対策

2026/7/9

エンジニアが内定辞退する本当の理由と今日からできる対策

内定を出したエンジニアに辞退されることは、採用担当者にとって大きな痛手です。時間をかけて面接を重ね、条件交渉まで終えたにもかかわらず「他社に決めました」という連絡が入るたびに、徒労感と焦りが積み重なっていくことも多いのではないでしょうか。

複数社を並行して選考するエンジニアが増え、内定辞退が起きやすい環境は当面続くと言われています。

この記事では、多くの企業が見落としている「選考設計の問題」という視点で対策を整理しました。読み終える頃には、明日から着手すべき改善ポイントが明確になるはずです。

1、エンジニアの内定辞退が増えている背景

(1)中途採用市場で内定辞退が起きやすい構造的理由

経済産業省の調査によると、IT人材の不足数は2030年に最大で約79万人に達すると試算されています(*1)。供給が需要に追いつかない構造が続くなか、エンジニアは転職市場において売り手優位の立場にあります。

複数社が同一候補者にアプローチし、エンジニアが並行して複数の選考を進めることが当たり前になっています。マイナビの調査では、中途採用全体の内定辞退率は2024年に9.3%となり、年々微増傾向にあります(*2)。内定辞退は「例外的なトラブル」ではなく「起こりうるリスク」として捉えるべき問題です。

*1参考:経済産業省「IT人材需給に関する調査」2019年

*2参考:マイナビキャリアリサーチLab「転職ファストパスの可能性と課題〜内定辞退者との新たな接点構築に向けて〜」2025年8月

(2)エンジニア特有の内定辞退傾向とは

エンジニアの転職行動には、一般的なビジネス職種とは異なる特徴があります。技術コミュニティを通じた情報共有が盛んなため、採用プロセスの評判が口コミで広まりやすい環境があります。また、技術的な成長環境やプロダクトへの共感が意思決定に与える影響が大きく、年収の高さよりも「何を作るか」「誰と働くか」を重視するケースも多くあります。

レバテックの調査(*3)では、エンジニアの7割以上が「1ヶ月以内」のスピーディーな選考を希望しており、選考期間の長さが辞退の一因になっています。また、内定承諾の決め手として最も多かったのは「自分のスキルや経験をしっかり評価してくれる(39.4%)」でした。これは選考で見定められることではなく、これまでの実力や経験を正しく理解し、価値を認めてもらえているという実感を指します。

*3参考:レバレジーズ株式会社「エンジニアの7割以上が『1ヶ月以内』のスピーディーな選考を希望」2022年

2、エンジニアが内定を辞退する主な理由

(1)求人票・スカウト段階での情報ミスマッチ

内定辞退の種は、求人票やスカウトの段階ですでに蒔かれていることが多くあります。エンジニアが選考を進めていく中で「思っていた仕事と違う」と感じる体験が積み重なり、内定のタイミングで「やはり辞退しよう」という結論に至るケースです。情報不足が不信感のきっかけになる具体的な例を挙げます。

  • 使用する技術スタックやアーキテクチャの詳細が記載されていない

  • 「モダンな開発環境」といった抽象的な表現にとどまっている

  • 担当するプロダクトや課題感が伝わらない

  • スカウトメールが汎用テンプレートで個別性がない

エンジニアは技術選定の背景や開発プロセスを重視します。「なぜその技術を選んでいるのか」が見えない求人は、それだけで技術的な配慮のない職場という印象を与えることがあります。

関連記事▶︎なぜ応募が来ない?エンジニア兼採用担当が実践する成功のコツ

(2)選考スピードの遅さと連絡の途絶え

複数社を並行して選考するエンジニアにとって、選考スピードは意思決定に直結する要素です。書類選考の結果に2週間以上かかる、面接の日程調整に1週間を要するといった対応は、それだけで「この会社は動きが遅い」という判断につながります。面接後の連絡が途絶えた瞬間に、心理的にその企業を選択肢から外してしまうエンジニアも少なくありません。

例1)面接翌日に「選考結果は○日以内にご連絡します」と一言伝えるだけで、候補者の不安は大きく和らぎます。

例2)選考フロー全体を最初に明示し(「面接2回、最終決定まで3週間を目安にしています」など)、候補者が見通しを持てる設計にします。

(3)面接・面談に漂う「一方的に見られている」感覚

面接でのやりとりは、エンジニアにとって企業文化を直接感じ取る場です。一方的な質問攻めや技術への理解を感じさせない質問は「この会社は自分に関心がない」という印象を残します。レバテックの調査では、内定辞退の理由として「面接官の印象が良くない(24.3%)」が最も多く挙げられており、面接官の対応が辞退に直結しています。

「なぜこのプロジェクトにRustを採用したのですか?」「チームのコードレビュー文化はどうなっていますか?」といった技術的な背景への関心を示す問いかけは、エンジニアに「自分のことを分かってくれようとしている」と感じさせます。面接は企業が候補者を選ぶ場であると同時に、候補者が企業を選ぶ場でもあります。この双方向の設計があることが重要です。

*3参考:レバレジーズ株式会社「エンジニアの7割以上が『1ヶ月以内』のスピーディーな選考を希望」2022年)

関連記事▶︎エンジニア採用の面接がうまくいかない本当の理由と改善策

(4)内定後のコミュニケーション不足

内定通知を出した後、連絡が途絶えてしまう企業があります。候補者は入社日が近づくにつれて「本当にこの会社でよいのか」という不安を自然と抱えます。この時期に適切なフォローがなければ、他社からの接触や身近な人のアドバイスをきっかけに気持ちが揺らいでしまいます。内定直後のお礼連絡、現場エンジニアとの面談機会の提供、入社前の業務環境の共有などが有効です。ただし、こうした施策も「あとから付け足す対症療法」では効果が限られます。この点を次の章で詳しく解説します。

3、内定辞退の根本原因は「内定後」ではなく「選考設計」にある

(1)対症療法が機能しない理由

内定辞退対策として、多くの企業が「内定後のフォローを強化する」「連絡頻度を増やす」という方向に向かいます。しかし、こうした取り組みを重ねても辞退率が下がらない企業は少なくありません。その背景には、「内定後のケア不足が問題だ」という思い込みがあります。

実際には、エンジニアが辞退の意思を固めるのは内定通知の後ではなく、選考プロセスの途中です。求人票を見た時点での「解像度の低さ」、面接での「関心を持たれていない感覚」、連絡の遅さからくる「信頼感の低下」——これらが積み重なって「内定が出たら辞退しよう」という心理が形成されます。内定後にどれだけ丁寧にフォローしても、すでに固まった意思を覆すことは容易ではありません。

(2)エンジニアは選考プロセス全体を「企業文化の鏡」として見ている

採用プロセスそのものが、企業の文化や組織の質を判断する材料になっています。「この会社は採用で大切なことを軽視している。入社してからも同じだろう」と感じた候補者は内定をもらっても承諾しません。

逆に言えば、選考プロセスを丁寧に設計することは採用ブランドを高めることでもあります。スカウトメールのパーソナライズ度、面接官の技術理解の深さ、連絡のスピードとトーン、内定後の温かみある対応——これらすべてが「この会社で働きたい」という感情を形成する要素です。採用プロセスを「効率化すべきオペレーション」ではなく「信頼関係を構築する接点」として位置づけ直すことが、辞退率を下げる第一歩です。

(3)辞退リスクが高まる選考設計の落とし穴3つ

選考設計において特に注意すべき落とし穴を3つ挙げます。

①要件の曖昧さ:「〇〇できる方」「モダンな技術に興味がある方」といった抽象的な要件は、ミスマッチの温床です。具体的な技術スタック・業務内容・求めるレベル感を明示することで、応募段階での期待値のずれを防ぎます。

②選考期間の長期化:選考ステップが多すぎる、または各ステップ間の間隔が長すぎると候補者の気持ちは他社へ移ります。「なぜこのステップが必要か」を一度見直し、本当に必要なプロセスに絞り込むことが重要です。

③面接の一方通行化:質問するだけで自社の情報を伝えない面接は、候補者を「採用される側」として位置づける設計です。候補者が「自分も企業を選んでいる」という対等な関係性を感じられる構成に変える必要があります。

関連記事▶︎エンジニアのカジュアル面談が選考につながらない設計の問題

関連記事▶︎なぜエンジニア採用のテストで辞退が起きる?種類と設計の見直し方

4、選考設計から変える内定辞退防止の実践策

(1)求人票・スカウトで「解像度の高い情報開示」を設計する

求人票では、技術スタック(言語・フレームワーク・インフラ)、開発プロセス(スクラム・コードレビューの頻度)、担当プロダクトの現在の課題感を具体的に記載します。スカウトメールでは候補者のGitHubや過去の発表資料を参照した上で個別性を持たせます。

例1)求人票記載例:「バックエンドはGo、インフラはAWS(ECS/Aurora)を中心に構成しています。現在レイテンシの改善とデータパイプラインの刷新が主要課題です」

例2)スカウトメール冒頭:「先日のカンファレンスでの発表内容を拝見し、〇〇さんのアーキテクチャへのアプローチが、弊社の現在のシステム改善課題と非常に近いと感じました」

(2)選考スピードと連絡頻度をプロセスとして組み込む

スピードの改善は「頑張る」ではなく「設計する」ことで実現します。面接の翌営業日以内に結果または予定を連絡する、選考全体のスケジュールを最初の面接時に明示する——こうしたルールをチーム内で合意した上で運用することが必要です。

合否がまだ決まっていない場合でも「現在社内で検討中です。〇日までにご連絡します」という進捗報告を入れるだけで候補者の不安は大きく軽減されます。また、連絡担当者を固定することで関係性が生まれ、候補者は企業への親近感を持ちやすくなります。

(3)面接を「見極める場」から「選んでもらう場」に再設計する

面接の後半15〜20分を「候補者が知りたいことを聞く時間」として設けます。事前に「今日は〇〇さんが聞きたいことを聞ける時間をお取りしています」と伝えるだけで、候補者の緊張がほぐれ本音での対話が生まれやすくなります。

例1)「これまでに一番技術的な判断が難しかった設計を、経緯も含めて教えてください」(思考プロセスが分かるとともに、技術への敬意を示す問いかけ)

例2)現場エンジニアを1〜2名同席させ、実際の開発課題や技術的議論について率直に話す機会を作る。

(4)内定後フォローを「設計」として実装する

内定後フォローを「思いついたときに連絡する」ではなく、あらかじめスケジュールと担当者を決めた「設計」として実装します。内定通知から入社日までの期間を3〜4フェーズに分け、各フェーズで何を伝え誰が対応するかを事前に決めておきます。

例1)内定通知日:採用担当からお礼の連絡とともに、今後のスケジュールを案内する。

例2)1週間後:現場エンジニアとのオンライン面談を設定し、実際の業務環境や開発スタイルを率直に伝える。

例3)入社2週間前:PC設定・初日スケジュール・チーム紹介などをまとめて送付する。

フォローの目的は「入社意思を固めてもらうこと」ではなく、「不安を一つずつ解消していくこと」です。「一緒に入社の準備を進めている」という雰囲気を作ることが重要です。

5、採用構造を変える:業務委託から始めてミスマッチリスクを根本から下げる

(1)内定辞退の根本にある「相互理解の不足」という問題

ここまでの対策はいずれも「正社員として採用する」という前提の上での改善です。しかし内定辞退という問題の根底には、もう一つ重要な構造的課題があります。それは「数回の面接だけではお互いを深く理解することができない」という限界です。

候補者側からすると入社後に「思っていた文化と違う」という実態が分かることがあり、企業側からすると「面接では印象が良かったのに活躍してもらえなかった」というケースも起きます。内定辞退は、この相互理解の不足が選考段階で表面化した現象とも言えます。

(2)業務委託での協働→正社員化という採用設計の発想

この問題へのアプローチとして注目されているのが、「まず業務委託として一緒に働き、相互理解を深めた上で正社員として迎える」という採用設計です。フリーランスエンジニアとのプロジェクト協働を経由することで、実際の働き方・スキル・カルチャー適合性を確かめた上で採用判断ができます。

エンジニア側にも大きなメリットがあります。フリーランスとして活動しながら正社員転換を検討している層は一定数存在しており、業務委託の期間が「お互いを見極める期間」として機能します。面接だけでは伝わらない実際の業務スタイルや人間性をともに仕事をしながら確認できるため、入社後のミスマッチが生じにくくなります。この採用設計は「トランジション採用」とも呼ばれ、採用ミスマッチと早期離職を同時に防ぐ手段として活用されはじめています。

(3)「知らない人を採用する」から「信頼できる仲間を正式に迎える」へ

正社員採用の文脈で内定辞退と向き合い続けると、「辞退されないための対策」という守りの発想になりがちです。しかし業務委託を通じて「この人と一緒に働きたい」という確信が生まれた上での正式な招待は、選考通過後に内定通知を送るプロセスとは質的に異なります。

「知らない人を採用する」のではなく「信頼できる仲間を正式に迎える」という採用設計への転換が、内定辞退という問題をそもそも起きにくくする構造を作ります。正社員採用という一つの土俵だけに固執せず、フリーランス採用・業務委託活用を組み合わせた採用設計の視点を持つことが、エンジニア採用の行き詰まりを突破する鍵になります。

6、まとめ:内定辞退を減らす採用は「フォロー」より「設計」にある

エンジニアの内定辞退が起きる原因は、内定後のフォロー不足だけではありません。求人票・スカウト・面接というプロセス全体を通じて候補者に「この会社は自分を理解していない」と感じさせてしまっている場合、内定後にどれだけ丁寧に対応しても辞退を防ぐことは難しくなります。

辞退率を下げるために本当に必要なのは、各フェーズを「設計」として見直すことです。解像度の高い情報開示、スピードある連絡、候補者を対等なパートナーとして扱う面接設計、事前に組み立てた内定後フォローなど、これらが機能することで、内定辞退はじわじわと減っていきます。

さらに一歩踏み込むなら、正社員採用という枠組みにとらわれず、業務委託からの相互理解を経た採用設計という選択肢も検討する価値があります。こうした採用設計を実現する場として、re:shineでは、フリーランスエンジニアと企業が直接つながり、業務委託から正社員転換まで一貫して支援しています。

エンジニア採用に向き合う方々が、「選んでもらえる採用プロセス」を設計できるよう、一つでも参考になるものがあれば幸いです。

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この記事を書いた人

re:shine編集部

エンジニアと企業のより良いマッチングを目指し、採用成功に役立つ多彩なテーマを発信しています。深刻な人材不足や働き方の多様化など、変化の激しいエンジニア採用市場において、採用担当者の皆様に寄り添い、明日から活用できる情報をお届けします。

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