
「エンジニアの採用は、いつ動くのが正解なのか」と悩む採用担当者の方は多いのではないでしょうか。中途採用には求人が増える時期があると言われ、その波を狙って動こうと考える企業も少なくありません。
ただ、エンジニア採用に関しては、時期を意識してもなかなか成果につながらないという声も聞かれます。この記事では、エンジニア採用の時期に関する基本を押さえたうえで、時期を待つだけでは採用が進まない理由と、時期に左右されない採用のつくり方までを整理します。
読み終える頃には、採用の「最適な時期」を待つ姿勢から一歩踏み出し、次に取るべき動きが見えているはずです。
- 1、エンジニア採用の時期はいつが良い?まず押さえる基本
- 2、なぜエンジニア採用は「時期の正解」が効きにくいのか
- (1)IT系エンジニアは職種横断で見ると季節変動が小さい
- (2)通年で売り手市場、待つほど機会損失が積み上がる
- 3、エンジニア特有の「動く時期」を読む
- (1)プロジェクトの区切りを狙う
- (2)技術カンファレンス・勉強会のシーズンを活かす
- (3)フリーランス・業務委託契約の更新時期に目を向ける
- 4、時期を待つより「常に母集団を持つ」設計へ
- (1)求人の時期最適化でできること・できないこと
- (2)通年で候補者とつながり続ける仕組みの考え方
- (3)フリーランス活用という「常時採用できる」選択肢
- 5、採用時期を活かすための実践ステップ
- (1)入社希望日から逆算してスケジュールを組む
- (2)繁忙期・閑散期を戦略的に使い分ける
- (3)時期に依存しないチャネルを1つ持つ
- 6、まとめ:エンジニア採用は「時期を待つ」より「母集団を持つ」で決まる
1、エンジニア採用の時期はいつが良い?まず押さえる基本

エンジニア採用の時期を考えるうえで、まずは採用市場全体の動きを押さえておきたいところです。中途採用には求職者と企業がともに動きやすい時期があり、そのリズムを知ることが計画の出発点になります。なお、新卒採用は選考の早期化などで中途とは時間軸が大きく異なるため、本記事では中途とフリーランスの採用を中心に扱います。
中途採用が活発になるのは、大きく分けて年に3つの山があると言われています。
1〜3月:年度替わりの4月入社を目指す求職者が動く時期
6〜7月:夏の賞与を受け取ったあとに転職を検討する層が増える時期
9〜11月:下半期のスタートや人事異動にあわせた動きが生まれる時期
背景にあるのは、賞与の支給や年度・半期の切り替えといった、働く人の区切りです。企業側もこの動きにあわせて求人を出すため、求職者と求人の数が重なりやすくなります。ただし応募が集まりやすい時期は競合も多く、求人が埋もれやすいという側面も見逃せません。
ここで押さえたいのは、こうした山はあくまで採用市場全体の傾向だという点です。エンジニア採用に限ると、この一般論がそのまま当てはまるとは限りません。理由については、次の章で詳しく見ていきます。
2、なぜエンジニア採用は「時期の正解」が効きにくいのか
ここまで採用時期の一般論を見てきましたが、エンジニア採用ではこの「時期を狙う」考え方が思うように機能しないことがあります。その理由は、大きく2つに分けて整理できます。
(1)IT系エンジニアは職種横断で見ると季節変動が小さい
多くの職種では、3月と9月に採用活動の明確な山ができます。たとえば営業職では、この2か月が他の時期のおよそ1.8倍に達するという調査結果もあります(*1)。一方でIT系エンジニアの中途採用は、9月がやや高まるものの、ほかの職種と比べて月ごとの変動は小さいという結果が示されています(*1)。
この違いは、エンジニア採用の性質をよく表しています。エンジニアの多くは欠員補充や事業拡大にあわせて通年で募集されており、季節よりも各社の事業フェーズに動きが左右されます。つまり「特定の月を狙えば有利になる」という発想が、ほかの職種ほどは効きにくいのです。
*1 参考:パーソルキャリア株式会社「転職活動を始めるチャンスは今!中途採用が活発になる時期」 2026年7月
(2)通年で売り手市場、待つほど機会損失が積み上がる
エンジニア採用が時期に左右されにくい理由は、もう1つあります。それは慢性的な人材不足です。経済産業省の調査では、IT人材は2030年に最大で約79万人が不足すると試算されています(*2)。需要が供給を上回り続ける市場では、採用は通年で売り手優位に傾きます。
このような市場において、「良い時期を待つ」という判断は機会損失につながりかねません。募集を止めている間にも、他社は動き続けているためです。時期を選ぶという発想そのものが、エンジニア採用では見直しを迫られていると言えるでしょう。
さらに、より新しい調査でも不足は深刻さを増しています。IPAの「DX動向2024」では、DXを推進する人材の量が「大幅に不足している」と答えた企業が、2021年度の30.6%から2023年度には62.1%へと倍増しました(*3)。将来の見通しだけでなく、足元でも人材の確保は年々難しくなっているのです。
*2参考: 経済産業省「IT人材需給に関する調査(概要)」2019年4月
*3参考: 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「DX動向2024 - 深刻化するDXを推進する人材不足と課題」2025年7月
3、エンジニア特有の「動く時期」を読む
季節の一般論が効きにくい一方で、エンジニアには独自の「動きやすいタイミング」があります。市場全体のカレンダーではなく、エンジニアの働き方に根ざした時期を読むことが、接点づくりの精度を高めてくれます。
(1)プロジェクトの区切りを狙う
エンジニアが次の環境を考えるのは、担当プロジェクトが一段落したタイミングであることが多いと言われます。大型のリリースを終えた直後や、四半期・年度の区切りは、自分のキャリアを見つめ直す自然な節目になります。
例1)主要な機能をリリースした開発者が、次の挑戦を求めて動き始めるケースがあります。リリース情報や技術ブログの更新は、その節目を知る手がかりになります。
例2)受託開発の現場では、案件の完了時期に稼働の空きが生まれます。その前後に声をかけることで、相手にも検討の余地が生まれやすくなります。
区切りのタイミングを意識すると、「たまたま募集が目に入った人」ではなく、「ちょうど次を考え始めた人」と出会える確率が高まります。
(2)技術カンファレンス・勉強会のシーズンを活かす
エンジニアは、技術カンファレンスや勉強会が活発になる時期に、社外へ意識を向けやすくなります。登壇や参加を通じて他社の取り組みに触れ、自分のキャリアを相対化する機会が増えるためです。
例1)大規模なカンファレンスの開催前後に、自社エンジニアが登壇して開発文化を発信するケースがあります。技術的な発信は、同じ関心を持つエンジニアとの接点を生みます。
例2)勉強会のスポンサーとして場に関わり、選考の前に対話を重ねる方法もあります。採用を前面に出さない関わりが、かえって信頼につながります。
こうした場では、条件よりも技術への向き合い方が伝わります。エンジニアが集まる時期に場へ関わることが、中長期の母集団づくりに効いてきます。
(3)フリーランス・業務委託契約の更新時期に目を向ける
フリーランスや業務委託で働くエンジニアには、契約の更新という独自の区切りがあります。更新の前後は次の関わり方を検討する時期であり、正社員の転職市場には現れない層と出会える入口になります。
例1)四半期ごとに契約を見直すエンジニアが、更新のタイミングで新しい環境を検討するケースがあります。継続的に接点を持っていれば、その瞬間に候補として想起されます。
例2)複数の案件を掛け持つエンジニアが、稼働の配分を変える時期に声をかけられ、業務委託から関係が始まることもあります。
正社員採用だけを見ていると、この層は視界に入りません。契約更新という時期に目を向けることで、出会える母集団が広がります。

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4、時期を待つより「常に母集団を持つ」設計へ
ここまで見てきたように、エンジニア採用では「最適な時期を待つ」よりも、「いつ動いても声をかけられる状態」をつくるほうが本質的です。この章では、時期に依存しない採用の考え方を整理します。
(1)求人の時期最適化でできること・できないこと
求人を出す時期を工夫することには、一定の効果があります。応募が集まりやすい時期を選べば母集団は増え、閑散期を選べば競合が減ります。時期の調整は、採用活動を有利に進める手段の1つです。
ただし、時期の最適化でできるのは「出会いの確率を少し上げる」ところまでです。慢性的に人材が不足する市場では、時期を選ぶだけで採用が決まるわけではありません。時期はあくまで補助線であり、主役にはなりにくいと捉えるほうが現実的でしょう。
(2)通年で候補者とつながり続ける仕組みの考え方
時期に依存しない採用の鍵は、点ではなく線で候補者と関わることです。一度接点を持ったエンジニアと、選考に進まなくても関係を保ち続ける。その積み重ねが、必要なときに動ける母集団になります。
例1)過去にカジュアル面談をしたエンジニアと、技術情報の発信を通じてゆるくつながり続けるケースがあります。半年後や1年後の相談につながることも少なくありません。
例2)一度は縁がなかった候補者に、状況が変わった頃に再び声をかける方法もあります。関係が切れていなければ、再検討のハードルは下がります。
採用を「募集して選ぶ一度きりの行為」ではなく、「関係を育て続ける営み」として捉え直すこと。それが、時期の呪縛から抜け出す第一歩になります。
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(3)フリーランス活用という「常時採用できる」選択肢
通年で母集団を持つ発想と相性が良いのが、フリーランスエンジニアの活用です。フリーランスは正社員の転職市場よりも競争率の低い土俵であり、一般的な採用市場では出会いにくい即戦力エンジニアと、通年で接点を持てます。
まず業務委託として関わり、実際の働きぶりを見ながら関係を深める。そのなかで相性が確認できれば、正社員への転換を打診するという流れも設計できます。時期を待つのではなく、常に候補者とつながっている状態を、フリーランス活用はつくりやすくします。
エンジニアと企業が直接つながれる場を活用すれば、こうした通年の関係づくりは進めやすくなります。re:shineのようなプラットフォームも、その選択肢の1つです。
5、採用時期を活かすための実践ステップ
最後に、ここまでの内容を踏まえ、採用時期を味方につけるための具体的なステップを紹介します。ただし4章で見た通り、時期の調整はあくまで出会いの確率を高める補助的な手段にすぎません。通年で母集団とつながり続ける土台があってこそ、時期を活かす工夫は効果を発揮します。ここでは、その土台を保ちながら時期を味方につけるための、具体的な動き方を整理します。
(1)入社希望日から逆算してスケジュールを組む
採用は、募集を始めてから内定・入社まで一定の時間がかかります。1人の中途採用でも、募集から入社まで1〜3ヶ月程度はかかるのが一般的です。この期間を踏まえ、入社してほしい時期から逆算して動き出すことが基本になります。
例1)4月入社を目指すなら、遅くとも年明けには募集を始める設計が現実的です。年度替わりの繁忙と重なる前に動くことで、選考にも余裕が生まれます。
例2)欠員補充のように時期が読めない採用では、常に募集要項を準備しておき、必要になった瞬間に動ける状態を保つ方法があります。
(2)繁忙期・閑散期を戦略的に使い分ける
応募が集まりやすい繁忙期と、競合が減る閑散期には、それぞれ異なる利点があります。多くの応募から選びたいなら繁忙期、じっくり向き合いたいなら閑散期と、目的で使い分けるのが有効です。
例1)ゴールデンウィークやお盆と重なる時期は、採用市場が落ち着きます。応募数は減りますが、競合が少ないぶん自社の求人が目に留まりやすくなります。
例2)長期休暇を使って情報収集する層もいます。普段は忙しく動けない、経験豊富なエンジニアと出会える可能性がある時期です。
閑散期を「採れない時期」と決めつけず、狙いを変えて活用する視点が、時期を味方につけてくれます。
(3)時期に依存しないチャネルを1つ持つ
繁忙期・閑散期の使い分けに加えて、時期に左右されないチャネルを1つ持っておくと、採用は安定します。通年で候補者とつながれる手段があれば、市場の波に振り回されにくくなります。
例1)自社の技術発信を続け、関心を持ったエンジニアがいつでも接触できる入り口をつくる方法があります。
例2)フリーランスや業務委託で通年つながれる場を1つ確保しておくと、急な増員にも動きやすくなります。
時期戦略とあわせて通年のチャネルを持つこと。それが、市場の波に採用を委ねる「時期任せ」から、必要なときに動ける母集団を前もって用意しておく「設計された採用」へと、進め方を変えていきます。

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6、まとめ:エンジニア採用は「時期を待つ」より「母集団を持つ」で決まる
エンジニア採用の時期を考えることは、採用市場のリズムを知る第一歩として意味があります。ただし、エンジニアという専門職の採用では、時期を狙う効果は思うほど大きくありません。慢性的な売り手市場のなかでは、時期を待つほど機会が遠のいていきます。
大切なのは、「最適な時期を探すこと」から「いつでも動ける母集団を持つこと」へと発想を移すことです。プロジェクトの区切りや契約更新といったエンジニア固有の時期を読みながら、通年で関係を育てていく。その延長線上に、フリーランス活用のような常時つながれる選択肢もあります。
時期に振り回される採用から、時期を味方につける採用へ。今日から関係づくりの一歩を踏み出すことが、次の採用を確実に前へ進めてくれるはずです。

この記事を書いた人
re:shine編集部
エンジニアと企業のより良いマッチングを目指し、採用成功に役立つ多彩なテーマを発信しています。深刻な人材不足や働き方の多様化など、変化の激しいエンジニア採用市場において、採用担当者の皆様に寄り添い、明日から活用できる情報をお届けします。
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