
採用手法を変えれば、エンジニア採用はうまくいくのでしょうか。転職サイトを変え、エージェントを増やし、スカウト文を書き直す——そこまでやっても結果が出ない、と頭を抱えている担当者の方も少なくないはずです。
実は、エンジニア採用がうまくいかない原因の多くは「どの採用手法を選ぶか」以前の問題にあることが多いです。ITエンジニアの採用市場は構造的に需要が供給を大きく上回っており、正社員採用の戦場で戦い続けること自体を問い直す必要がある場合もあります。
この記事では、主要な採用手法の比較情報を整理しながら、手法を選ぶ前に確認すべき視点、とりわけ「正社員採用一択という前提」を見直す重要性を解説します。読み終える頃には、自社の採用課題がどこにあるのかを整理する手がかりが見つかるはずです。
- 1、エンジニア採用の「手法の比較」を始める前に見直すべきこと
- (1)「どの手法を使うか」より先に問うべきこと
- (2)エンジニア採用市場の現実:求人倍率11.5倍という壁
- 2、エンジニア採用の主要手法を比較する
- (1)求人媒体(転職サイト)
- (2)ダイレクトリクルーティング
- (3)人材紹介(エージェント)
- (4)リファラル採用
- (5)SNS採用・ソーシャルリクルーティング
- (6)フリーランス採用(業務委託)
- 3、採用手法を選ぶときに確認すべき5つの視点
- (1)採用スピードの優先度
- (2)採用コストの許容範囲
- (3)自社のブランド認知度
- (4)「正社員」か「フリーランス」か ─ 自社に最適な選択
- (5)中長期を見据えたトランジション採用の可能性
- 4、まとめ:手法を選ぶ前に「土俵」を選び直す
1、エンジニア採用の「手法の比較」を始める前に見直すべきこと

(1)「どの手法を使うか」より先に問うべきこと
採用担当者がよく口にする悩みは「どの媒体がいいか」「エージェントと直接採用、どちらがコスパがいいか」といった手法選択の話です。しかし、手法を変えることで解決できる問題は限られています。
採用手法を選ぶ前に、まず確認すべき問いがあります。「採用しようとしているのは正社員でなければならないか?」という問いです。正社員採用に絞って考えていると、選べる手法の幅も、出会える候補者の幅も自然と狭まります。即戦力が必要な場面であれば、業務委託(フリーランス採用)という選択肢が視野に入るだけで、状況が大きく変わることがあります。
手法の選択は重要ですが、それ以上に「どの土俵で採用するか」という前提の設計が先に来ます。採用がうまくいかないと感じているなら、まずその前提を確認することが、最初のステップになります。
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(2)エンジニア採用市場の現実:求人倍率11.5倍という壁
エンジニア採用の難しさには、構造的な背景があります。パーソルキャリアが運営する転職サービス「doda」のデータによると、IT・通信系エンジニアの転職求人倍率は長期的に約11倍を維持し続けており、エンジニア採用の難易度が依然として高い状況が続いています。(*1)
さらに、経済産業省の調査では、2030年には最大約79万人のIT人材が不足すると予測されています。(*2)DXやAI活用のニーズが急拡大する一方で、供給が追いつかない構造的なギャップが固定化されているのです。
この状況下では、エンジニアは複数の企業から同時にアプローチを受けていることが多く、採用側は「選ぶ立場」から「選ばれる立場」へと意識を転換しなければなりません。どれだけ手法を工夫しても、市場の需給バランスそのものは変わらない。そのことを前提に採用戦略を設計する必要があります。
*1参考:doda「転職求人倍率レポート」2026年8月
*2参考:経済産業省「IT人材需給に関する調査報告書」2019年4月
2、エンジニア採用の主要手法を比較する
主要な採用手法の特徴を整理します。手法ごとにメリット・デメリット・費用感・向き不向きを把握した上で、自社の状況に合った選択につなげてください。
(1)求人媒体(転職サイト)
求人媒体は、掲載した求人情報に対してエンジニアが自ら応募してくるプッシュ型の採用手法です。最もオーソドックスな方法のひとつで、大量の候補者に対して広くリーチできる点が強みです。
費用は掲載型が一般的で、期間に応じた定額料金がかかります。一方、エンジニアの転職市場における競争は激しく、知名度が低い企業では応募が集まりにくいという課題があります。また、求人票の書き方によって応募数が大きく変わるため、技術要件の整理や魅力的な記述が重要です。
例1)「リモートOK・フルフレックス」など働き方の条件を明示することで、応募数が増えるケースがあります。
例2)使用技術のスタックを具体的に記載(React / TypeScript / AWS など)すると、スキルセットが合うエンジニアからの応募が集まりやすくなります。
向き不向き:自社の知名度がある程度あり、エンジニアに魅力的な労働環境を提供できる企業に向いています。スタートアップや知名度が低い企業は、掲載しても埋もれるリスクがあります。
(2)ダイレクトリクルーティング
ダイレクトリクルーティングは、求職者データベースの中から条件に合うエンジニアを企業側が探し、スカウトメッセージを送る手法です。転職意欲が顕在化していない「潜在層」へのアプローチができる点が大きな特徴です。
エンジニア採用との親和性は高く、GitHubのアカウントや保有資格などで技術スキルを直接確認してからアプローチできます。ただし、スカウトメッセージの質が結果を大きく左右します。テンプレートのようなメッセージは見破られやすく、候補者一人ひとりの経歴や実績を読み込んだ上で、なぜこの方に声をかけたいのかを具体的に書くことが返信率向上の鍵です。
例1)「○○というOSSプロジェクトのコントリビューターとして貢献されているのを拝見しました」など、候補者のアウトプットに言及するスカウト文は開封率・返信率ともに高い傾向にあります。
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(3)人材紹介(エージェント)
人材紹介は、採用が成立した際に紹介手数料を支払う完全成功報酬型の手法です。初期費用ゼロで始められる点は魅力ですが、採用時の手数料は一般的に年収の30〜35%程度が相場とされており、年収600万円のエンジニアを採用した場合、180万〜210万円程度のコストが発生します。
エージェントが候補者の初期スクリーニングや面接調整を担ってくれるため、採用担当者の工数を抑えやすいメリットがあります。一方で、エージェントも自社のマージンを確保しながら動くため、構造的には「高い報酬を提示できる企業の候補者」が優先されやすい傾向があることも理解しておく必要があります。
向き不向き:採用工数を減らしたい企業、採用に慣れていない企業に向いています。コストよりもスピードを優先する場面での活用が効果的です。
(4)リファラル採用
リファラル採用は、社内の既存エンジニアに候補者を紹介してもらう手法です。紹介者が自社の文化や業務内容を理解した上で推薦するため、入社後のミスマッチが起きにくいという特徴があります。採用コストを抑えられる点も魅力で、エンジニア系企業を中心に積極的に活用されています。
ただし、社内のエンジニアのネットワーク規模に依存するため、採用数に限界があります。また、リファラル制度を設けていても活用されないケースも多く、「紹介のきっかけを社内でどう生み出すか」を継続的に設計する必要があります。
例1)「今のチームの雰囲気や仕事の面白さを外に発信する」ことで、エンジニアが自発的に紹介したいと思える状況を作ることが有効です。
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(5)SNS採用・ソーシャルリクルーティング
SNS採用は、X(旧Twitter)やGitHub、Zennといったエンジニアがアクティブなプラットフォームを通じてアプローチする手法です。技術的なアウトプットを発信しているエンジニアと直接つながれるため、スキルや志向性の把握がしやすい点が特徴です。
ただし、SNSを通じた採用は担当者の継続的な情報発信と関係構築が前提になります。短期間で成果を求める場合には向かず、採用ブランディングの一環として中長期的に取り組む手法として位置づけるのが適切です。
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(6)フリーランス採用(業務委託)
フリーランス採用(業務委託)は、正社員採用と比較して競争率が低い「土俵」として注目されています。正社員採用における求人倍率が10倍を超える領域でも、フリーランスとして活動するエンジニアのマーケットでは、直接契約型のプラットフォームを活用すれば企業からのアプローチ倍率が約2倍程度に収まるケースもあります。
フリーランス採用の大きなメリットは採用スピードです。正社員採用では入社まで数ヶ月かかることも多い一方、業務委託であれば稼働開始まで数週間で動き出すことができます。即戦力が必要な場面や、プロジェクト単位でスキルセットを確認してから正社員化を検討したい場合に特に有効です。
また、業務委託期間中に実際の仕事を通じてエンジニアの能力や人柄を見極め、相性が合えば正社員転換を提案する「トランジション採用」という設計も広がっています。面接だけでは見えにくい実務上の適性を、実際の業務を通じて評価できるため、入社後のミスマッチを大幅に減らすことができます。

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3、採用手法を選ぶときに確認すべき5つの視点
手法の特徴を理解した上で、次は自社の状況に合った選択のための判断基準を整理します。
(1)採用スピードの優先度
プロダクト開発の佳境でエンジニアが足りない、社員の退職で穴が開いた——こうした「今すぐ動ける人材が必要」という状況では、正社員採用は時間がかかりすぎる場合があります。選考・内定承諾・入社準備を含めると、最短でも2〜3ヶ月はかかるのが一般的です。
即戦力を急いで確保したい場合は、フリーランス採用や人材紹介を優先的に検討し、並行して正社員採用を進める「複線採用」が現実的です。
(2)採用コストの許容範囲
採用手法は費用体系によって大きく3種類に分かれます。掲載型(転職サイト)は掲載期間に応じた定額、成功報酬型(人材紹介)は採用が決まった際に年収の一定割合、直接契約型(ダイレクトスカウトやフリーランスプラットフォーム)は低手数料での活用が可能です。
特にフリーランス採用の直接契約型では、一般的なエージェント経由と比較して中間マージンが大幅に抑えられるため、エンジニアへの適切な報酬を維持しながら採用コストを下げることができます。
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(3)自社のブランド認知度
知名度の高い企業では、転職サイトへの掲載やスカウトメッセージだけでも一定の反応が得られます。しかし、スタートアップや中小企業では、名前を知られていないことによる不利が大きく、単純な手法比較だけでは乗り越えにくい壁があります。
この場合は、エンジニアに刺さるコンテンツ(技術ブログ・登壇・OSSへの貢献など)を発信して認知を作ることや、エンジニアのコミュニティに近い場所でアプローチする手法の組み合わせが重要になります。
(4)「正社員」か「フリーランス」か ─ 自社に最適な選択
「正社員でないといけない理由」を改めて言語化してみることをお勧めします。社会保険・雇用安定・長期育成——これらが重要であれば正社員採用が基本になります。一方、特定のスキルを持つ即戦力が期間限定で必要、あるいはまず一緒に働いてから判断したい、という場合はフリーランスから始める選択肢が合理的です。
正社員とフリーランスの違いを整理した上で、自社が今求めているのはどちらかを明確にすることが、手法選択の精度を上げる第一歩になります。
(5)中長期を見据えたトランジション採用の可能性
業務委託期間中に相性を確認してから正社員転換を提案するトランジション採用は、ミスマッチリスクを低減しながら優秀なエンジニアとの関係を継続的に深めていく設計です。
フリーランスとして活動するエンジニアの中には、条件や環境が整えば正社員への転換を検討する「転換意欲層」が一定数存在します。業務委託での協働を通じてお互いを深く知り合った上で社員化の話をするため、通常の採用よりも内定承諾率が高くなりやすく、入社後の定着率も改善しやすいという特徴があります。

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4、まとめ:手法を選ぶ前に「土俵」を選び直す
採用手法の比較は重要です。しかし、本当に大切なのは「どの手法を選ぶか」よりも「どの土俵で勝負するか」を先に設計することです。エンジニア採用の難易度が構造的に高い今の市場では、正社員採用一択という前提を持ち込む限り、どの手法を使っても壁にぶつかり続ける可能性があります。
採用がうまくいかないと感じたとき、まず問うべきは「手法が悪いのか」ではなく「前提が合っているか」です。フリーランス採用・トランジション採用という競争率の低い選択肢を視野に入れると、出会える候補者の幅が広がり、採用の打ち手も増えます。
re:shineは、ITエンジニアに特化した直接契約型のプラットフォームです。フリーランス採用やトランジション採用を低コストで始めたい企業様のお役に立てる設計になっています。採用戦略の選択肢を広げる一手として、ぜひ検討ください。
どの手法を選ぶにしても、エンジニアと誠実に向き合い、相手にとっての魅力を伝え続けることが採用の核心です。土俵を広げた上で、ぜひ一歩踏み出してみてください。
この記事を書いた人
re:shine編集部
エンジニアと企業のより良いマッチングを目指し、採用成功に役立つ多彩なテーマを発信しています。深刻な人材不足や働き方の多様化など、変化の激しいエンジニア採用市場において、採用担当者の皆様に寄り添い、明日から活用できる情報をお届けします。
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